第21回定例セミナーを開催しました。
第21回定例共催セミナー
北九州市立大学
中華ビジネス研究センター&地域戦略研究所
北九州商工会議所
テーマ:「中国経済の行方と東アジアのグローバルサプライチェーン」
講師:福本智之 大阪経済大学経済学部教授、前日銀国際局長、元北九州支店長
コメンテーター::北九州市立大学中華ビジネス研究センター長 王 効平
日 時:2021年12月02日(木) 14:30~16:30
会 場:JR九州ステーションホテル小倉 飛翔の間
12月2日(木)午後、JR九州ステーションホテル小倉にて、北九州市立大学中華ビジネス研究センター&地域戦略研究所、北九州商工会議所合同主催、大阪経済大学経済学部教授福本智之先生による「中国経済の行方と東アジアのグローバルサプライチェーン」をテーマとする講演会は成功裏に開催された。
福本先生は日銀北京事務所長、日本銀⾏北九州⽀店⻑、同国際局審議役、国際局長を務めた経験と、アジア経済全般について広い視野と深い洞察力を有する方で、長い間日本の国際金融協力に関わってこられた。
講演内容は大きく3つの部分から構成されている。第一部は中国経済発展の軌跡、その構造的特徴と課題、第二部は米中貿易摩擦発生の背景とその影響、米中経済関係の現況、第三部は半導体産業を初めとする国際産業間の比較優位、競合・相互補完関係の様相、東アジアグローバルサプライチェーン見直しの動向である。特に中国経済の発展を左右する不動産業、それに深く関わる地方財政や金融政策の相互関係について、大手不動産開発業者経営危機の具体的な事例、非常に詳細な統計資料と中国現地の報道を基に丁寧に分析され、独特な見解を示された。米中貿易摩擦をはじめとする米中対立の側面ばかり報道されるなか、米中間の輸出入が顕著に増大し、産業界中心に交流推進の姿勢が明確に確認できることを、米中両側公表の資料でもって示唆された。東アジアにおけるグローバルサプライチェーンの見直しについては、半導体産業をケースに、日本にとって競争力維持のために、技術保全に注意を払いながら、対中国ビジネスの維持・拡大の工夫が求められることを提言された。
コメンテーターの王効平が、まず福本智之先生の講演内容の構成、進め方が体系的、論理的でとても分かりやすいこと、鋭い洞察力と現場感覚でもって最新の動向と意味深い提言を伝えて頂いたことを高く評価した。その上、中国経済自体地域差と多様性に富んでいること、そもそも改革開放策も試行錯誤の繰り返しによる漸進主義的な色彩を持ちながら、高成長を実現したものの、所得格差や環境問題などの課題をも生み出していること、また、米中関係が決して競争一辺倒ではないことを指摘し、日本の産業界は独自の関係構築戦略が求められるとの考えを示した。
本セミナーの開会挨拶は、北九州商工会議所内山一仁国際交流委員長、北九州市立大学工藤一成大学院マネジメント研究科長が行い、閉会挨拶は南博地域戦略研究所副所長が行なった。コロナ以降対面イベントの開催が難しい中、地域各界から募集枠80名の参加を得て、制限時間一杯質疑応答が行われた、有意義なセミナーとなった。