2024合同セミナーを開催しました。

北九州市立大学

中華ビジネス研究センター/

地域戦略研究所アジア地域連携部門

 

2024合同セミナー

 

テーマ:台湾系半導体企業の対九州投資の動向と影響

日 時:2024年11月13日(水)15:50~17:40

会 場:北九州市立大学 小倉サテライトキャンパス

 

去る11月13日、中華ビジネス研究センターと地域戦略研究所アジア地域連携部門主催、北九州商工会議所後援の「台湾系半導体企業の対九州投資の動向と影響」をテーマとする合同セミナーが成功裡に終了した。

 

1980年代から1990年代前半まで日本の半導体産業は世界をリードし、九州はシリコンアイランドとして日本の産業経済を牽引していた。日米貿易摩擦、半導体産業間の競争激化を背景とする「日米自動車構造協議」、「日米半導体構造協議」を交わされたことに日本経済バブルの崩壊が重なり、半導体製造の空洞化が進み、関連産業は景気低迷に見舞われてきた。TSMCの日本法人JASM熊本工場の建設が関連企業の新規投資の呼水となり、半導体産業再生、地域経済復興の契機となるのではと高く期待されている。

 

セミナー講師を務めた江泰槿(Taichin CHIANG)先生は国立台湾科技大学材料系博士課程修了(工学博士)、科学技術政策・半導体産業研究の専門家で、財団法人中華経済研究院助研究員兼東京科学大学工学院特定准教授&台湾オフィス主任、台日産業技術協力促進会理事を歴任し、台日科学技術交流、文化交流の促進に努めてこられた。

 

セミナーでは、包括的かつ完全なサプライチェーンを有する台湾の半導体産業構造の特徴を紹介し、総生産高・売上高並びに技術的指標による同産業国際競争力の比較評価を行ったうえ、先端半導体トップメーカーTSMCによる九州投資の背景、意義と課題を専門的な視点から分析された。半導体製造のための材料と加工装置が特に強い日本は産業政策の策定、補助金支援、官民連携による半導体強国への復帰に努力している。1カ国でグローバル的、多様な要素が複雑に絡み合う半導体サプライチェーンを独占的に維持し続けることが困難であり、特に必要とされる人材の育成に時間がかかると課題提起された。

 

コメンテーターは中華ビジネス研究センター長・王効平教授が務めた。長年中華経済研究院と交流関係にあり、北九大MBA大学院の海外研修を支援いただいた江泰槿先生の九州来訪の機会に地域振興につながるセミナーの企画ができたことのお礼を述べたうえ、以下4点の認識を指摘した。a.地政学的経済安保観が先進半導体メーカーの多角的立地を促していること、b.日米半導体産業(企業)のビジネスモデルの相違が過去30年に亘る半導体産業の盛衰を左右してきたこと、c.国の外資誘致策(受入姿勢)が外資系企業に求められるインフラ整備の水準を決定付け、誘致成果に影響すること、d.ビジネス文化の相異に対する相互理解、歩み寄りがビジネスパートナー間のWin-Win関係の構築につながること。

 

会場の収容定員を超える参加数を得て、多くの方から質問が出て、関心の高さがうかがえた。


(開会挨拶 )中華ビジネス研究センター長 王効平教授

(講師) 江泰槿先生


(講演)

(講演)

 

 

 

 

 


(コメンテーター) 王効平教授

(質疑応答)