2021年度 海外研修プログラム

日 程 :9月5日(日)~9月10日(金)

 本校で実施する海外研修プログラムは、日本と経済相互依存関係にある東アジアのビジネススクールとの直接的な交流や特色ある経営を展開している現地企業の視察・訪問を通じて、国際ビジネス感覚の養成とともに、人的ネットワークを構築することを目的としている。

 今年度の海外研修は第九回目に当たり、台湾清華大学(新竹市)管理学院、中興大学(台中市)管理学院、タイ王国マヒドン大学付属中国・アジアグローバル化研究センター、フォックスコングループ企業、Vistage(中国)、香港貿易発展局東京事務所、ファーウェイジャパンの教員、専門家陣による特別講義が提供され、EMBA経営者とのパネルディスカッション、Vistage社の会員経営者達と討論交流を行った。

 9月5日は本マネジメント研究科教授、当センター長の王効平より本海外研修の狙い、意義と全体構成の説明を受けた後、台湾清華大学管理学院EMBA兼任教授・台湾中華経済研究院国際経済研究所所長の陳信宏氏(Shin-hong Chen)による「デジタル経済とデジタルトランスフォメーションの発展」、台湾中興大学管理学院副院長・磐石産学研究センター長の林谷合教授(Ku-ho Lin)による「米中貿易戦及びコロナ情勢下における日台サプライチェーンの調整・再構築」をテーマとした特別講義を受講した。最後に、台湾中興大学EMBA経営者とのパネルディスカッションを実施し、台湾側から2021年台湾経済の展望及び台日のサービス産業交流に関する発表を受けた後、三つのグループに分けてそれぞれ「台日産業協力と経営様式」「イノベーション・創業に対する制度的、非制度的支援」、「MBA/EMBAネットワークが起業、ビジネス交流に果たす役割」について積極的に議論した。

 9月6日はタイ王国・マヒドン大学付属中国・アジアグローバル化研究センター研究員・ラジャマンガラ工科大グルンテープ校国際学院副院長のYuande氏が「タイにおける中華系企業:その経営管理、社会政治への参加、及び中国との相互関係」と題し、タイ経済を根底から支えている中華系(または華人系)企業の存在、その経営様式に焦点を絞り紹介した上、華人移住の歴史、現地社会政治参加の様子、父祖の地中華地域との関係にも触れ、対タイ投資・貿易事業展開に際しての受け皿となる彼らに関する豊富な情報を提供した。

 9月7日はタイTRUE電信株式会社社外取締役・タイ中国系企業総商会副会長・前ラヨン産業パーク総裁Gen-luo Xu氏より「日中の対タイ投資における比較分析」をテーマに、タイ向け直接投資の主役である日中両国企業を対象に、その直接投資構造、ビジネス様式、競争力に関する比較分析を行った。その後、質疑応答を交えながら、マヒドン大学EMBA院生とのディスカッションを実施した。

 9月8日はフォックスコン(鴻海精密工業)事業部長、同グループ中核企業樺漢科技社(エノコン)代表取締役黃朝懋(Edward Huang)氏、同Goldtek社マーケティング統括責任者清水慶一氏が「企業の成長エンジン:投資」をテーマに、フォックスコンの買収・合併戦略と実績を紹介し、シャープ統合にまつわる体験談も共有した後、熱心に多方面に及ぶ質疑応答に付き合った。

 9月9日はVistage Global Partner・上海老椅子管理顧問会社代表・コーチ呉強氏が「VISTAGEエグゼクティブコーチング会:経営者のリーダーシップ向上を促進するプラットフォーム」と題し、Vistage社のコーチングの理念、具体的な方法、従来型のコンサルティング手法やMBA教育との相違について説明した後、後半の討論セッションでは、日中双方の参加者が企業の持続的発展などについて、率直に語り合った。

 9月10日前半は香港貿易発展局東京事務所長の伊東正裕氏が『広域経済圏「広東・香港・澳門大湾区(Greater Bay Area)」における事業機会と香港が果たす役割」をテーマに、香港・日本の経済交流の実状、香港・マカオ・広東省大湾区の開発戦略、及び国際ビジネスセンターを支えてきた華人ネットワークの特徴、香港の特殊な制度や文化による促進機能を紹介した。後半は華為技術日本株式会社パブリック&インダストリーリレーションシップ部部長の郭宇氏より、激しい市場競争を勝ち抜いて持続的な成長を成し遂げたファーウェイの歩みに関する紹介と共に、ICT領域におけるオープンイノベーション、マーケットの共同開拓による新たな社会価値の創造と実現を目指すビジネスモデル、今後の発展戦略を語って頂いた。

 今回の海外研修プログラムは中華ビジネス研究センターが担当し、彭立君研究員は全体企画、連絡調整と具体的な運営に携わった。全コマはオンライン方式をとったことで、日本国内外資系駐在代表含め、台湾、タイ、中国本土、香港など多数の国・地域の大学と企業との交流ができた。連日のハードスケジュールをこなしていく中、各国・地域現地の経済・文化・政策情報を把握することができ、現地経営者とのパネルディスカッションや自由討議を通して、有意義な意見交換ができ、今後に繋がることも多々ある、実り多き研修であった。

海外研修企画の狙い、全体構成説明(当センター王効平教授)

デジタル経済とDXの発展(台湾・陳信宏教授)


日台サプライチェーンの調整・再構築(台湾・林谷合教授)

台湾・中興大学・EMBA交流


タイにおける中華系企業(タイ・Yuande先生)

日中の対タイ投資における比較分析(タイ・Genluo Xu先生)


タイ・マヒドン大学EMBA交流

フォックスコングループからみる企業の成長エンジン:投資(台湾・Edward Huang氏、清水慶一氏)


VISTAGE(中国)エグゼクティブ会(上海・呉強氏)

VISTAGE中国会員交流


広域経済圏「広東・香港・澳門大湾区(Greater Bay Area)」における事業機会と香港の役割(東京・伊東正裕氏)

ファーウェイ・ジャパンのオープンイノベーションによる新たな社会価値創造(東京・郭宇博士)